月別: 2012年2月

2月29日ニュースコメント

今日は大きなニュースが3つあった。まずは新しいiPadに関するイベントが3月7日(日本時間8日)に開催されること。そしてKDDIからiPadが発売されること。最後に900MHz帯がSoftbankに割り当てられること。

かねてからの噂通り3月7日に新しいiPadのイベントがあるということで、非常に楽しみだ。新しいiPadに期待するところは前回も書いたとおりなので省くが、いくつか気になるところがある。

新しいiPadがLTEに対応してくるのはまず間違いない。その場合、ベースバンドチップとしてQualcommのMDM9625またはMDM9225がiPadに搭載されることになるだろう。このチップはどちらもTD-SCDMAという中国独自の3G規格に対応している。つまり、技術的にはChina Mobileでも利用できることになるのだ。もしかしたら、China MobileでもiPhone/iPadを利用できるようにするために、AppleからQualcommに依頼してTD-SCDMAに対応させたのかもしれない。さて、新しいiPadはChina Mobileから発売されるだろうか?

もっとも、実際にどのベースバンドチップが乗ってくるのかは分解してみないとわからないので、確かなことは言えない。それに、China MobileでiPhone/iPadが出るという噂はここのところ全く聞かない。とは言え、夏から秋にかけて発売される次世代のiPhoneも同じベースバンドチップを採用してくるだろうから、今回のiPad 4Gモデルがどんなベースバンドチップを採用しているのかは要注目だ。

次にKDDI。私の勝手な予想では新しいiPadはTD-LTEにも対応しているので、Softbank 4Gでも利用できるはずだ。一方でKDDIは3月時点でまだLTEを始めていない日本国内で唯一のキャリアとなっており、LTEサービス開始は2012年12月を予定している。つまり、もし新しいiPadがLTEに対応していてもKDDIでは12月まで利用できないということだ。

それともKDDIはLTEに対応していないiPadを発売するのだろうか。AppleがLTEあり・なしの複数のモデルを作るとは考えられないと思っていたが、どうもこちらの噂記事を読むとそうでもないようだ。となると、Softbankからは4Gモデルが、KDDIからは3Gモデルが発売されるのだろうか。そんな状態でKDDIがまともに戦えるとは思えないのだが。

そして最後にSoftbankに900MHz割り当て。電波が利用できるようになるのは7月からということで、どうも私はその恩恵を受けられそうにない。この6月でiPhone 4を買ってちょうど2年になるし、おそらくちょうどその頃に次世代のiPhoneが発売されると思うので、その際にKDDIに乗り換えようと思っている。KDDIにする理由は自宅の回線がeo光だから。固定回線とのセット割がよもや資本関係のないISPでも適用できるようになるとは予想してませんでした。

ただ、もしその時にLTEに対応していない3GモデルのiPhoneしか選べないとしたら、本当に悩む。個人的な希望としてはKDDIはiPadもiPhoneも4Gモデルを発売して、12月にちゃんとLTEで使えるようにしてほしいと切に願う。もしくは、前倒しで7月からLTEサービス開始してほしい。800MHz帯再編はちょうど7月に終わるはずなので、前倒し可能なはず?

というか、Softbankはそもそもイコールフッティングを主張して900MHz帯を獲得したのだから、それが実現した今、iPadはSIMロックフリーで出すのが筋というものだ。特にiPadは全世界で日本だけがSIMロックされている。4GのiPadをぜひSIMロックフリーで出していただきたい。

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こんなiPadだったら即買い

私も新しいiPadに期待するものを書いてみます。

1.Retina Display

これは確実に搭載されると思うけど、Retina Displayは絶対に必須。これがなければ買いません。自分がiPad 2が出た時に買わなかったのはRetina Displayじゃなかったから。

2.メモリ1GB

今iPhone使ってて、一番改善したいのがメモリ。毎日必ずメモリ解放や再起動しないとすぐ使い物にならなくなる。特に日本語変換が重たくてしょうがない。もし1GBじゃなかったら、本当に買うかどうか悩む。

CPUはクアッドコアだ、いや、デュアルコアだと噂が流れているが、はっきり言ってどうでもいい。今のiPhone 4と同じA4でも全然オッケー。

3.SIMフリー

これはAppleというよりSoftbankへの要望。900MHzがSoftbankに割り当てられた暁には、SIMフリーにするのが筋だろう。SIMロックのかかった3Gモデルなんて絶対に買わない。

まあSoftbankに期待しても無駄なので、KDDIがauからSIMフリーで出すという大人の対応に期待。

4.Dockインタフェースの改善

iPod Dockはどう考えてもレガシーインタフェース。Thunderboltで接続して高速で同期が可能になってほしい。ついでに防水も対応して欲しい。まあ、ここは今まで通りでも買う。

5.軽量化

今のiPad 2も初代に比べれば軽くなってはいるが、それでも片手で持ち続けるのは疲れる。個人的にバッテリーよりも軽さを追求して欲しいところ。これは人によって感じ方は異なるだろう。いろいろなバリエーションが出ないApple製品の劣っているところだな。

6.LTE

最後にLTE。末永く使えるようにするためにもぜひ対応して欲しい。先日発表された「IIJmio高速モバイル/D サービス」と組み合わせて使いたい。

解雇規制と自分の価値

日本経済の足を引っ張っているのは強すぎる解雇規制だという意見がある。ロクに仕事もしないのに給料は高い中高年の社員を解雇できないため、若い非正規社員ばかりが増えるという構図。いずれ終身雇用はなくなっていくのかもしれない。

もし欧米のように企業がその業績に応じて自由に社員を解雇できるようになれば、企業は必要なときに必要な人材を労働市場から調達するようになるだろう。そうなれば同一職種同一賃金ということも実現されるだろうし、仕事の出来る人・出来ない人の属性がそのまま給与に反映されるようになるだろう。

翻って自分は今の給与に見合う価値を生み出せているだろうか。労働市場の荒波に放り出された時に、他の労働者との競争に打ち勝つだけの能力を持っているだろうか。気がつけば既に35歳を過ぎて久しい。35歳と言えば転職できる期限と考えられている歳だ。若い人と横並びで比較された時に、自分には何がアピールできるだろう。

あるいは、起業して、会社に雇われなくても一人で稼げるようにできないだろうか。アプリやWebサービスでも作って一山当てるとまでは行かなくても、日々の食い扶持に困らないぐらいは稼げないだろうか。フリーランスとして生きていくのはもっとしんどい。

そうやって考えてみると、自由に解雇できる世の中は自分には非常に厳しいものだという事がわかる。今の自分はむしろ解雇規制に守られている立場なんじゃないかという気がしてくる。

きっと世の中の大半の人から見れば、自分は既得権益側の人間なのだろう。自分では気が付かないうちにそうなってしまっていることに、いささか驚く。

次の選挙で橋下新党は解雇規制をなくすという政策を掲げるかもしれない。その時に自分は誰に投票すべきだろう。

それよりもまずは、自分の価値を高める努力を怠らないことが大事なんだ。そんなことはわかっているけれど。

ARMがx86を駆逐する日

月面着陸(Moonshot)」という名のプロジェクトがある。hpが開発を進めているARMサーバーのプロジェクトだ。従来型のサーバと比較して消費電力・設置面積・費用を大幅に削減することができるという。

プロセッサーの歴史はこれまでコンシューマーが主導してきた。20年程前。まだWindows 95が世の中に登場していなかった頃は各社がいろいろなプロセッサーを開発し、競争していた。intelのx86だけでなく、MotorolaのPowerPCやDECのAlpha、hpのPA-RISCなどの様々なプロセッサーが存在していたのだ。しかし、その後は御存知の通りintelが独占体制を築くことに成功する。Windows PCが爆発的に普及し、Windows PCには必ずintelが入っていたからだ。いわゆるwintel体制というやつだ。

プロセッサーの開発は巨額の投資がつきまとう。そのため、どれだけ多くの数がさばけるかが勝敗を決める。intelチップはPCという巨大なマーケットに受け入れられたため、その投資を賄うことができた。その技術をXeonというエンタープライズ向けのチップにも転用し、いつしかサーバー用途にもintelチップが多くを占める状況になった。今やNECのメインフレームでさえ”intel inside”なのだ。DECはCompaqに買収されてAlphaとともに潰えた。さらにそのCompaqを買収したhpもPA-RISCの開発を終了。intelと共同開発しているItaniumは先行きが不透明だ。SunのSPARCはOracleに買収されて息絶え絶えの状況である。

もう一つ生き残ったサーバー向けプロセッサーはIBMのPowerだが、実はPowerは任天堂のWiiに搭載されている。だから、生き残ることができているのだ。

この先もintelが市場を独占するのかどうかはわからない。今後はスマホの普及によってARMチップが台頭してくるからだ。昨年2011年は「世界のスマホ出荷台数がPCとタブレットの合計を初めて上回」ったらしい。ARMは設計会社でしかないため、単純にintelと比較することはできないが、今後ARM陣営の開発投資はintelを上回っていくだろう。

intel側も黙ってそれを見ているわけではなく、新しいAtomチップを開発してスマホに売り込もうとしているが、PCほどの利益が見込めるのだろうか。今の開発投資に見合うだけのマーケットを取ることが目標だとしたら、途方もない数をさばく必要がある。まさにイノベーションのジレンマだ。もはやintelにはあまり先がないように思う。

いずれコンシューマー向けプロセッサーとしてARMが普及した時には、おそらくサーバー向けにもARMが適用されていくことだろう。ARMが搭載されたサーバーは、いったいどんな姿なのだろうか。サーバーラックの扉を開ければ、PoEスイッチのRJ45ポートに、あたかもUSBメモリのように刺さっていたりするのだろうか。どんな未来が来るのか楽しみだ。

ソフトウェアは後から何度でも修正できる、そのメリットを活かせ

特許庁が55億円をつぎ込んで基幹系システムを刷新しようとしていたが、要件をまとめられず頓挫したという。もう少し早く決断できていればというのが悔やまれるが、これ以上傷が広がらなくてよかったと思うべきなのか。

自分もシステム開発に携わっているので、こういう状況はよく想像できる。レガシーなシステムを一から作りなおして新しいシステムに刷新するというのは、非常に難しいプロジェクトだ。単に全く同じ物を作るだけだから簡単な話だと思いきや、そうはいかない。当初システムを開発した人はもう残っていないし、誰もシステムの全体像を理解していない。業務に精通している人は本来の業務に忙しくてシステム開発に時間を割けない。そんな様々な理由が重なって新しいシステムの仕様をまとめることができない。

しかし、そもそも要件なんてまとめる必要あるんだろうか。とにかく何でもいいから一番小さいものをまず最初に作ってしまって、それで不都合があったら後から修正すればいいじゃないか。だって、ソフトウェアの最大のメリットは後から何度でも修正できることなんだから。

ハードウェアはなかなか後から修正するってことができない。PCが必要だろうと思って大量に買った後で、やっぱりiPadがよかったとか言っても後の祭り。いったいどうするんだ、この大量のPCは、ってことになる。

その点、ソフトウェアは後からいくらでも修正できる。PC向けに作ったシステムだって、ちゃんとWebベースで作っておけば多少の修正でiPadでも動かせるようになるだろう。もちろんバリバリにハードウェアに依存したコードを書いていたら多少の修正という訳にはいかない。実際、特許庁のシステムもレガシーなメインフレームのシステムか何かで、コードを一から作りなおさなくてはいけなくなったんだろう。でも、今時のソフトウェアは基本的にそのようなハードウェア依存のコードを書くことなんてない。ゲーム開発とか、特殊な用途を除けば。

いくら一生懸命要件をまとめたって、どうせシステムができる頃には要件が変わる。IT技術だって新しいものが出てくるし、業務の環境だって変わるだろう。特許制度もずっと同じって訳じゃない。どうせすぐ変わるのに、その時その一瞬だけの要件をまとめることに何の意味があるんだろう。

まずは小さいシステムから始めたらいい。もし年に1件しか特許が出願されていなかったら、きっとシステムなんかいらない。月に1件だったらまだ大丈夫かな。一日1件ぐらいになるとシステムがあった方が便利かもしれない。そういうレベルから始める。だいたい3ヶ月ぐらいでリリースできるぐらいのシステム。それぐらいだったらいくら何でも要件をまとめられるだろう。そこから徐々に徐々にシステム化の対象範囲を広げていく。いわゆるアジャイル開発だな。

そんな開発手法がとれるのも、ソフトウェアが後から何度でも修正できるからだ。よくシステム開発工学は建築工学を模倣してウォーターフォール型が取り入れられるけれど、そんな開発手法はソフトウェアの良いところを台無しにするだけだ。

問題は二つ。一つ目は、アジャイル開発は競争入札と相性が悪いこと。3ヶ月ごとに要件をまとめて競争入札なんかしたら毎回ベンダーが変わってしまって、その時点で破綻してしまう。二つ目は最後になってみないと費用がいくらになるのかわからないこと。せいぜいわかるのは3ヶ月先のコストまで。

だけど、それは従来の開発だって同じなんじゃないだろうか。特許庁の報告書によれば特許庁の担当者が自ら入札した企業に事前に情報を流していたらしい。別にそれは談合とか悪気があってやったんじゃなくて、そんな情報もなければ見積もることさえできないからだったんじゃないか。何を作るか決まってもないのに費用を出すなんて不可能だ。

今後、特許庁は機能を絞って別の方式で開発するそうだ。次はうまくいってほしい。55億円を無駄にしないためにも。